女性建築家10人からの住まい発信ブログ            「住まいを語ろう!創ろう!楽しもう!」

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能舞台の舞台裏

杉本雅子です。
3年ほど前から、観世流能楽師の先生について、大阪で能の仕舞の稽古をしています。
この度初めて、東京の観世能楽堂で行われる素人弟子の発表会「初陽会」に出演して参りました。
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東京都渋谷区松涛にある観世能楽堂は、観世流の活動拠点で、年間130公演以上が行われています。1972年に建てられたこの建物は、老朽化が進んだため取り壊しが決まっており、観世能楽堂は、銀座に建設中の複合ビル内へ移転します。ここで行われる素人弟子の発表会も今年が最後となるそうです。
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能舞台の写真は撮れなかったので、HPよりお借りしました。

40年以上にわたり、さまざまな能の公演が行われてきた歴史ある舞台です。
銀座の新しいビルへは、この能舞台はそのまま移設されるそうです。

 今回、発表会に出演するにあたり楽しみにしていたのが、舞台に立つことはもちろんですが、舞台裏に足を踏み入れること。
それがここです。
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なんてことのない部屋ですが・・・
ここは、舞台右手の「切り戸口」と言われる出入り口前の空間で、能公演では、地謡(コーラス)の人たちが出入りする場所です。モニターがあって、舞台の様子を見ることができます。

反対側を見た写真がこちら
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広廊下と呼ばれています。
この空間がちょうど舞台裏となり、シテ(主役)が登場する舞台左手の「橋がかり」へと繋がっています。
本当になんてことない簡素な古い広い廊下なのですが、本番近くなり、楽屋からここへ足を踏み入れると、途端に緊張感が高まります。長年、出演者の摺り足に磨かれて、床板はピッカピカです。他の出演者の皆さんも私も、最後の舞の練習に余念がありません。

出番ギリギリまで往生際悪く舞の練習している私に、舞台への扉の開閉をしてくださる若い能楽師の方がひとこと、「欲を出したらいけませんよ」と声をかけてくださいました。はっとして気が楽になりました。そう、いくら出番直前に練習したところで、急にうまくなる訳ではありません。舞台に出ても、普段のお稽古以上のことはできません。舞台上でどれだけのことができるかは、それまでどれだけのことをしてきたかにかかっているんですね。普段の鍛錬の積み重ねが大切であることを実感し、かえって、「今更あせってもどうなるものでもないか」と、開き直ることができました。

本番は5分間の仕舞です。
舞台から客席に家族の姿を発見して気が散ったり、足の運びに気をとられるあまり躓きそうになったり、パニックになりそうになりながらも、なんとか、転ばない程度に終えました。
・・・普段よりうまく舞おうだなんて、欲を出すどころではありませんでした。

演目は「蝉丸」で、盲目の弟宮蝉丸を探して都から大阪にやってきた狂女の逆髪という役でした。

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普段、仕事と家事の時間をやりくりをしながら、なんとかのらりくらりと続けてきた月1回のお稽古。今回の東京の発表会に参加するかどうかも随分迷いました。この本番に至るまでは、先生に叱られたり、練習時間がとれなくてあせったり、やる気をなくしたり、いろいろとありましたが、最後は心地よい緊張感を感じながら終えることができました。
これからの仕事やお稽古のモチベーションがぐんと上がりそうな(?)楽しい貴重な体験となりました。
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by sumaitukurou | 2014-11-01 01:15 | その他