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厳島神社の景観軸の延長線上にあるもの

安芸の宮島 厳島神社を初めて訪ねました。
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日本三景の一つでもあり、世界文化遺産にも登録されています。
自然美と人工美の対比と調和が素晴らしい、本当に奇跡のような場所でした。
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ところが、、、、とても信じがたい残念な光景が、、、

建築や景観の観点で厳島神社を考えるときに、最も重要なポイントの一つになるのは、その景観軸です。
宮島では、神社の背後の弥山の中心と、海辺に広がるように配置された神社の中心である本殿、沖に立つ大鳥居が、一直線上に配置されています。

船で鳥居側から神社を見ると、正面に突き出された本殿、そして、背後の弥山。はい。見事です。
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ところが、神社の本殿から見ると、正面の海上に大鳥居、、、、そのさらに先にあるものは・・・?

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周りにいた人のほとんどが、気になった様子

海を挟んだ対岸の斜面にあったのは、これ。
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ガイドの方に聞けば、新興宗教の施設。なにやら異様な存在感を放っています。
明かに、この軸線を狙って神社の対岸の真正面に確信犯的に建てられています。

世界遺産周辺の環境を守るバファーゾーン(緩衝地帯)は、現状では宮島の全島と厳島神社前の海面だけだそうです。
では、景観を構成する重要な部分である対岸は?
安芸の宮島のある廿日市市では、2011年に景観条例が造られ、市民や事業者に、景観形成への協力義務を課したそうです。一定の建物については新築や増改築の際に、色の変更を命令できる、というもの。逆に言うと、既存の建物は増改築をしない限り、規制の対象とはならない、ということですね。もう、この建物が出来てから10年以上も経つそうです。
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宮島を後にして、平和記念公園を訪ねました。
すると、ここでも景観軸・・・
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平和記念公園および平和記念館を設計した丹下健三は、幅員100mの平和大通りと直交し原爆ドームに向かう景観軸を定め、その軸上に慰霊碑を、後方にゲートとしての資料館を計画したそうです。
そして、このアイディアは、厳島神社の配置計画と類似していると指摘されています。
「・・・原爆ドームからHPシェル型の慰霊碑を経て、平和記念資料館のピロティの間を貫いて延びる軸線は、厳島神社の弥山から本殿を経て海中の鳥居にいたる一本の軸線とまったく同じ性格を秘めているからである。厳島神社の本殿が弥山を背負い、さらに厳島全体を負っているのと同様に、慰霊碑は原爆ドームを背負い、そのドームはさらに広島の町全体を負っているのである。」(鈴木博之著「日本の<地霊>」講談社 より)

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ここでも、原爆ドームの周辺のビルの高さが問題になっています。

杉本雅子でした。
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by sumaitukurou | 2013-02-28 02:44 | 環境や街並み